2019/07/10

The Chronicle of Noble Lady(3)手編みのレース

浅草寺のほおずき市




去年、7月の浅草寺のほおずき市に行ったとき、裏の駐車場のそばの屋台で一番安いほおずきのかけらを買った。
今年もちょうどほおずき市の日に都内の用事があるので、行きがけに浅草寺に寄った。
その屋台の見知らぬおばさんに会いたいわけではないのだが、今年もいるだろうかと気になって同じ場所へ歩いていくと、今年もそこにいた。

「毎年ここのすみっこが、あたしの固定の場所なのよ。」
「へえ~、、、去年さあ、何でほおずきがご利益があるのか聞いたんだけど、忘れちゃったな、もう一度教えてよ。」
「ええと、あたしもいつもお客さんからその質問をされるんで、答えるのがめんどくさいな。そこの紙に書いてあるから自分で勝手に読んで。」

ほおずきを買って家に置くと、浅草寺に行ってお詣りしたのと同じご利益が1年中ある、と書いてある。

「お~、そうなんだ。じゃあ、1年に1回ほおずき市のときにほおずきを買えば、1年中浅草寺にお賽銭を入れなくてもご利益があるんだね。」
「う~ん、まあ、そうなるのかな、、、」
「じゃあ、2つちょうだい。」
「ありがとう。」


浅草寺のほおずき市


私は今年もそのおばさんから一番安いほおずきのかけらを買ったが、今日はこれからクラシック音楽の師匠Iさんのところへ行くので、2つ買った。
この日、私はIさんに、新しいパソコンのブラウザの使い方をレクチャーした。
Windows7のブラウザは簡単な仕様だが、Windows10はタブブラウザが標準となっており、おばあちゃんにその仕組みを説明して理解させるのはほぼ不可能だった。
しかし、おおむね初期設定は済んだので、本日の目標達成となった。

その後はタクシーに乗って椿山荘へ。
ラウンジのカフェ(ルジャルダン)でアフタヌーンティーをした。








椿山荘のルジャルダンのアフタヌーンティー


外出支援ボランティアの輪を広げよう


ルジャルダンでは2時間ほど話しただろうか。
私はこの後、用事があるので、いったんIさんの家に寄ってから帰ることになった。
夕方、Iさんの家に戻った。
すると突然、あなたにプレゼントがあるのよ、と言われた。
何をもらえるんですかと聞くと、ディアナダムラウの直筆サイン入りのCDと、レースの雑貨だという。
私は遠慮せず両方もらうことにしたが、レースの雑貨とは何だろう??
Iさんは書棚からぶ厚いクリアブックを取り出して、そのページをめくっていった。
クリアブックの中には、Iさんの手編みのレースの作品が入っている。

「これは全て、私の手編みのレースの作品なのよ。」
「す、すごい、、、」
「むかしのヨーロッパではね、レースは王様や貴族だけが身に着けられる贅沢品だったの。レースを身に着けていることが、王様や貴族にとっては富と権力の何よりものあかしだったのよ。」
「こんな貴重なものを、ぼくにくれるんですか??」
「そうよ。さあ、1枚だけ好きなのを選んで持っていってちょうだい。私が持ってたってしょうがないんだから、お友達にあげちゃう方がいいのよ。」

私が選んだ手編みのレースを、Iさんは取り出して私にくれた。
が、家に帰り、早速、額縁に入れて飾ってみたのだが、、、まあ、何というか、私のような庶民には、不釣り合いのように思えるのだった。