4月6日までの短期間だが、アトレ取手のギャラリーVIVAでは、地元の美人女子高生たちが展示会をしている。
県立取手松陽高校美術科の8人の生徒が集まり、自信作を持ち寄った「8展(はちてん)」である。
VIVA職員のTさんに話を聞くと、美術を専門に学べる学校が茨城県内にはほとんどないので、取手松陽にはアーティストになりたいという県内の子供たちが集まるのだという。
GoogleMapで調べると、取手松陽は東京芸大の取手キャンパスの周辺にある。
私はすぐに、芸大に憧れる若者の姿を思い浮かべた。
この土日は、何人かのアートコミュニケーターがVIVAに集まり、8展の作品で対話型鑑賞会を開催した。
新型コロナウィルスの影響もあり、久しぶりの対話型鑑賞会であった。
私は日曜日の部に、ファシリテーターとして参加した。
対話型鑑賞については、以前の記事でも紹介したので、詳しくはそちらを見てほしい。
土曜日の対話型鑑賞では、何組かの家族連れ、取手松陽の友達が参加し、大いに盛り上がったそうだ。
さて今日はどうだろう、と思って私は時間まで入口で待った。
誰も来ないなあ、と思って振り向いたら、私のうしろにいる青年が実は参加者だという。
灯台下暗しというか何というか、まあ、1人でも参加者がいて良かったと思ったが、彼1人だけでは対話型鑑賞にならない。
そこで出展者の美人女子高生3人も参加することになった。
ファシリテーターは、私とアートコミュニケーター数人が分担した。
ファシリテイターには段取りや決まりがあるものの、毎度見る作品も違うし、参加者の人数、年齢、美術の知識等も一定ではないので、ファシリテーターは結局、出たとこ勝負となる。
私はしばらくファシリテーターをしていなかったので、前回の反省点に気を付け、とにかく鑑賞者の会話を引き出すことに努めた。
私の番が終わると、別の絵の前に移動し、今度は別のアートコミュニケーターがファシリテーターとなった。
かれこれ30分以上、5人グループで2枚の絵を、話しながらじっくり鑑賞した。
実は、私はすでに彼女たちの展示作品を1度見ていたのだった。
最初の鑑賞は1人でざっとギャラリーを回っただけ、その時の感想は恐らく、第一印象のようなものにすぎなかった。
同じ作品をもう1度見る、しかも、グループで意見交換しながら見ると、まったくもって最初の自分だけの鑑賞がいかに適当なものだったかを思い知らされる。
2枚の絵はごくありふれた絵なのだと思う。
しかし、5人で話しながら鑑賞すると、様々な発見があり、1人で見る場合とは別の満足感を得られた。
どうも私は、1人で鑑賞すると自分の見たいところしか見ないようだ。
まあ、それは自分勝手な私だけの問題なのかもしれないが、1人でキャプションの短文を読んで分かったつもりになっている鑑賞者も多いのではないだろうか。
読者のみなさんも、対話型鑑賞をぜひ一度試してみてほしい。