事業承継は最近の士業のトレンドである。
私の友達で司法書士のM先生も虎視眈々、興味津々のご様子、仕事帰りにシンクタンクの勉強会に通っているという。
ある時、そんなM先生に話を聞いた。
「なかなか興味深い事業だけど、そもそも事業承継のコンサルタントはどんな法律を知っていればいいの??」
「とりあえず、民法、会社法、信託法、税法が分かれば、事業承継コンサルタントはだいたい準備OK。」
「ああ、それなら私も、税法以外はひととおり知っている。あなたと私でできるの??」
「そうねえ、、、やればできるんじゃないですか。都内のバーチャルオフィスを借りて、インターネットで広告をすればいい。ほとんどリスクはないよ。」
「そうだよね。」
「でも、税金の計算をする必要があり、税理士との提携は必要です。」
「誰かいるの??」
「います。大手で独立したがっている知り合いが。」
後日、私は事業承継の入門書を読んでみた。
だいたいのことは知っていて数時間で読み終えたが、これなら、まあまあいけそうではないか!?
では、、、ジャッジメント!!
まず、事業承継コンサルタントの肩書は、弁護士、司法書士や税理士などの国家資格を前提としない。
経営コンサルタントと同じで、極論すると名刺に書けば事業承継コンサルタントのできあがり!!である。
この点について、M先生は、国家資格の司法書士が事業承継コンサルタントを名乗れば信用力が違う、かなり有利だと、某シンクタンクの勉強会でいわれたという。
わりと儲かるビジネスで悪徳業者もいるからである。
事業承継士という(一般社団法人が認定する)認定資格も用意されているようだ。
しかし、M先生は結局、事業承継コンサルタントをやらないのではないか、と私は見ている。
なぜかというと、司法書士のほうが、M先生に向いていると思うからである。
そして気心の知れているM先生がやらないなら、私もなかなかやる気が起きない。
司法書士の主な仕事は登記申請と書類の作成であるが、法律屋でありながらも弁護士のようにウェットな人間関係にあまり立ち入ることがないのだ。
しかし、事業承継コンサルタントは他人の会社に立ち入る仕事そのものなのだ。
ウェットな人間関係、隠された秘密やトラブル、創業者家族のゴタゴタにも遭遇し、関係者とはモメることも多いのではないだろうか。
よって、事業承継コンサルタントは、経営の専門家の中小企業診断士とかが向いていて、次に税理士も、まあ、中小企業の顧問税理士でお金の専門家であるから向いていて、弁護士も顧問弁護士として紛争解決で縁があって、、、最も縁が遠そうな士業が司法書士ではないかしら??
M先生は性格的に、そのような仕事に向いていないような気がするのだが、、、この件は、今後どんな展開になるのだろう。
率直にいうと、司法書士ならば、事業承継(M&A)に関する登記案件「だけ」の依頼を受けるのが、おいしいのではないか。