こんにちは、エッセイストのあんみつ先生です。 ワイン、アート、音楽、料理、犬などに関するラブリーな記事を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。Hello. Anmitsu Sensei is an essayist. This Essay with lovely articles about wine, art, music, cooking, and dogs.Please take a look.
2021/04/28
2021/04/22
元祖生涯学習センター「弘道館」
きのうは所用(公的機関アドバイザー就任の件)で茨城県の県庁所在地水戸まで行ってきた。
ただ、最近渋沢栄一で何かと話題の「弘道館」を見てみたいので、約束の時間まで観光を楽しんだ。
弘道館は、中心街のはずれの高台にある。
ハイキングコースのような急階段を上がり振り返ると、眼下に市街地が見下ろせた。
橋の左に弘道館、右に資料館があり、私は先に資料館へ行った。
入口に「日本遺産」と書かれた旗が掲げられていた。
ほう、弘道館は日本遺産なのか、と思ったら、橋向こうの弘道館の建物は重要文化財だという。
その後、橋を渡り、弘道館の敷地内に入った。
よく分からないが、弘道館ではなく旧弘道館というようだね。
正門を入ると庭園の一角に受付があり、400円の観覧料を払って中に入った。
弘道館の建物の入口前には桜の巨木があったが、すでに桜花は散った後で、きれいな緑だけとなっていた。
弘道館とは水戸藩の藩校である。
今でいうと県立中学、県立高校、県立大学~である。
当時は年齢別に分かれていなかったので、藩校というわけだが、弘道館は第9代水戸藩主徳川斉昭(とくがわなりあき)が水戸城内に設立したものだ。
すると私が歩いてきた場所も昔は水戸城の城内だった、ということである。
そういえば立札があり、「二の丸」「三の丸」と書いてあった。
まあ、丸の内の住所名のようなものだろうか。
資料館では渋沢栄一の特集もしていたが、展示物等の解説によると、弘道館の特徴は「生涯学習」という点にあった。
つまり、生徒には「卒業」がなく、仕事に就いた後も足繁く通って、生涯学んだというのである。
なるほど、弘道館は「元祖生涯学習センター」ではないか、と私は思った。
さて、歴史家などはよく、江戸時代が平和な時代だったと言う。
でも、実際はちっとも平和でなかったと思うのだよ。
身分制度が確立しており差別があったし、現代のように物質的に豊かではなく、江戸幕府の財政難で繰り返された行財政改革、飢饉、大地震等の度重なる天変地異、そのような状況下で、人々の将来に対する不安は明治維新も近くなるとさらに増したに違いない。
だから、新しい時代に対応するため、当時、多くの人々が勉学に励んだのだろう。
しかし、学ぶことに年齢制限はないとはいえ、当時も仕事をしながら、家庭を持ちながら学ぶのはなかなか難しいものがあったと思われる。
いまはどうだろう。
コロナ禍で急速にオンライン化が進んでいるが、新型コロナウィルスにより何もかもひっくり返ろうかという変革の時代に突入している。
生涯学習センターは今後、文化芸術の講座にとどまらず、実学(法律や経済など)の講座もするようになるかもしれない。
また、オンライン化を推進し、時代のニーズに応える必要もある。
そういえばきのう水戸に行く途中、土浦駅で乗り継いだときに、出発の時間まで駅前の県南生涯学習センターに顔を出した。
3月まで私の講座を担当してくれたHさんに礼を言うためである。
窓口でHさんに挨拶をし、10分ばかり話した。
私が水戸に行く用事のことを事前に話してあったので、Hさんは大変に喜んでくれた。
もしHさんが私の担当でなかったら、私の講座は実現には至らなかったと思うので、私はHさんに対して感謝の気持ちしかないのであった。
Hさんによると、生涯学習センターも最近は教養講座ばかりでなく、役に立つ講座を多く取り入れるようになったという。
もちろん教養講座が役立たずというわけではないのだが、どうせ勉強するなら役立つことを勉強したい、そういうニーズが今後は強まっていくのではないか。
2021/04/18
2021/04/13
2021/04/04
美人女子高生とわたしの対話型鑑賞会
4月6日までの短期間だが、アトレ取手のギャラリーVIVAでは、地元の美人女子高生たちが展示会をしている。
県立取手松陽高校美術科の8人の生徒が集まり、自信作を持ち寄った「8展(はちてん)」である。
VIVA職員のTさんに話を聞くと、美術を専門に学べる学校が茨城県内にはほとんどないので、取手松陽にはアーティストになりたいという県内の子供たちが集まるのだという。
GoogleMapで調べると、取手松陽は東京芸大の取手キャンパスの周辺にある。
私はすぐに、芸大に憧れる若者の姿を思い浮かべた。
この土日は、何人かのアートコミュニケーターがVIVAに集まり、8展の作品で対話型鑑賞会を開催した。
新型コロナウィルスの影響もあり、久しぶりの対話型鑑賞会であった。
私は日曜日の部に、ファシリテーターとして参加した。
対話型鑑賞については、以前の記事でも紹介したので、詳しくはそちらを見てほしい。
土曜日の対話型鑑賞では、何組かの家族連れ、取手松陽の友達が参加し、大いに盛り上がったそうだ。
さて今日はどうだろう、と思って私は時間まで入口で待った。
誰も来ないなあ、と思って振り向いたら、私のうしろにいる青年が実は参加者だという。
灯台下暗しというか何というか、まあ、1人でも参加者がいて良かったと思ったが、彼1人だけでは対話型鑑賞にならない。
そこで出展者の美人女子高生3人も参加することになった。
ファシリテーターは、私とアートコミュニケーター数人が分担した。
ファシリテイターには段取りや決まりがあるものの、毎度見る作品も違うし、参加者の人数、年齢、美術の知識等も一定ではないので、ファシリテーターは結局、出たとこ勝負となる。
私はしばらくファシリテーターをしていなかったので、前回の反省点に気を付け、とにかく鑑賞者の会話を引き出すことに努めた。
私の番が終わると、別の絵の前に移動し、今度は別のアートコミュニケーターがファシリテーターとなった。
かれこれ30分以上、5人グループで2枚の絵を、話しながらじっくり鑑賞した。
実は、私はすでに彼女たちの展示作品を1度見ていたのだった。
最初の鑑賞は1人でざっとギャラリーを回っただけ、その時の感想は恐らく、第一印象のようなものにすぎなかった。
同じ作品をもう1度見る、しかも、グループで意見交換しながら見ると、まったくもって最初の自分だけの鑑賞がいかに適当なものだったかを思い知らされる。
2枚の絵はごくありふれた絵なのだと思う。
しかし、5人で話しながら鑑賞すると、様々な発見があり、1人で見る場合とは別の満足感を得られた。
どうも私は、1人で鑑賞すると自分の見たいところしか見ないようだ。
まあ、それは自分勝手な私だけの問題なのかもしれないが、1人でキャプションの短文を読んで分かったつもりになっている鑑賞者も多いのではないだろうか。
読者のみなさんも、対話型鑑賞をぜひ一度試してみてほしい。
2021/04/02
加納紫帆さんの「俟つ」
最近私は運命のいたずらで、ワイン講座の先生ではなく、金融経済講座の先生をしている。
ブログの過去記事に書いたとおり、私はおととしからワイン教室に通い、国際的な認定資格WSET3の資格試験の合格を目指していた。
資格を取得してオリンピックが始まる前に、地元でワインバーをオープンするつもりで準備していた。
ところが、新型コロナウィルスの感染拡大、緊急事態宣言、飲食店の営業自粛要請~こうなるともう、ワインバーどころではない。
緊急事態宣言で延期となった試験を、私はようやく7月に受験できたが、結果が判明するまでかなりの時間がかかった。
答案用紙はロンドンのWSET本部で採点されるが、イギリスの社会経済が麻痺している状況で、答案の採点など後回しにされたのだ。
試験終了後は、茨城県県南生涯学習センターの講師養成講座に通い、ワイン講座の準備を進めた。
しかし、ワインの試験に合格したという通知をもらうまでワイン講座を見送るのが適切と判断し、その代わり、初心者向けの金融経済の勉強会のようなものを企画することにした。
もっとも、金儲けのための怪しい投資セミナーではなく、気軽で楽しい金融経済セミナーである。
生涯学習センターの女性職員に聞いたら、ここは公共施設なので投資セミナーはビミョウです、とのこと。
そりゃ、そうだろうな、、、生涯学習センターの教室で、〇〇を買いませんか、なんて勧誘をされてはたまらないからだ。
私は女性職員に、私の講座はそういうものではないと、きっぱり申し上げた。
その金融経済セミナーは、年初からの新型コロナウィルスの大流行にも関わらず、1月10日から3月28日までに全回無事終えることができた。
思いのほか好評だったので、私は今後もこの手のクリーンな金融経済セミナーの講師をしてみようと思っている。
本当はワイン講座の講師をしたいのだが、新型コロナウィルスのことがあり、テイスティングができないし、アフターの飲み会もできない、座学だけのワイン講座となってしまうが、それでは魅力を欠くだろう。
マスクを外せる日までは、ワイン講座を見送ることにする。
最後に。
私はアトレ取手のギャラリーVIVAで、アートコミュニケーターをしているが、4月からVIVAのオープンアーカイヴ(芸大生の卒業作品の収蔵庫)の作品が一部新しくなっている。
私はきのう早速、VIVA職員のTさんに頼んでアーカイヴの作品を見せてもらった。
2021年3月の卒業生の、できたてほやほやの作品も何点か収蔵されていた。
私たちは話しながら30分ばかりアーカイヴの作品を見て回ったが、私は加納紫帆さんの「俟つ(まつ)」の絵が気に入り、その前で記念写真を撮ってもらった。
この絵では、傘を差した女性が座って待っているのだが、右の空が明るく雨が降っているようには見えない。
きっと、少し前まで雨が降っており、その時から女性は何かを(誰かを)待ち続けているのだろう。
ああ、確かに、人生では待つことが非常に重要だ。
私も、辛抱強く何かを(誰かを)待った方がよいのかな、と思った。
その後、私はギャラリーの方へ行った。
地元の女子高生たちの展示会が開催されており、おもしろそうだったのでそちらも少し見ることにした。
それにしても地元の駅前で、芸大の卒業生の作品や女子高生の作品が無料で見られるとは、なかなかのゼイタクではないか。
今後も新型コロナウィルスのことがあり自由な外出が難しいとはいえ、このフレッシュなギャラリーに、より多くの人たちが足を運んでくれることを願っている。