先日、初めて日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅でおりた。
乗換案内に銀座線の虎ノ門駅と書いてあり、歩いてすぐなのかと思ったらそうでもなかった。
私は途中で道に迷ってしまい、向こう側のANAインターコンチネンタルまで歩き、溜池山王駅から銀座線に乗ることに、、、
どうも、虎ノ門って、よく分からないなあ、、、
そうそう、ずいぶん前の話だが、虎ノ門ヒルズの中でも私は迷ったことがある。
私の場合、虎ノ門といえば「迷う!!」なのである。
このときはジャフコのオフィスで行われた人事セミナーの後だった。
エンゲージメントをテーマにしたセミナーで、従業員の福利厚生の多様化を取り上げており、非常に興味深かったので参加したのだが、私の印象に残ったのは映画鑑賞補助というユニークな福利厚生制度であった。
例えば、従業員が自分の見たい映画を見に行き、それを会社に報告すると、映画鑑賞補助として500円ほど支払われる仕組みである。
これは映画鑑賞補助はクーポン券とはまったく異なるもの。
クーポン券は割り引かれる映画が決まっている。
従業員は自分の見たくない映画を見に行くこともある。
しかし、映画鑑賞補助は自分の見たい映画を見に行くという点で、従業員の満足度が高いのである。
それでは私なら補助で何の映画が見たいかと、セミナーを聞きながら考えてみた。
仕事のストレス解消のための映画鑑賞なら、やはり、アクション映画だ。
ダイハードみたいな派手なアクション映画かな。
ところで、ダイハードの主人公って誰だっけ??
昔すぎて、はっきりとは思い出せないが、主人公はスキンヘッドの刑事である。
さて、セミナーが9時過ぎに終わった。
都心の大きなビルは、帰りが遅くなるとビル管理会社が警備を厳重にするので、昼間入ったときとは違う秩序になっていて戸惑うことも多いのではないか。
私は帰りのエレベーターをおりた後、迷ってしまった。
堅く閉ざされた扉の前で、私は「ダイハード」の不運な刑事ジョンマクレーン(ブルースウィリス)のことを思い出した。
巨大なビルの中で、ああ、なんだか、他人事とは思えない。
しかし、このときの私はジョンマクレーン刑事のような危機はなく、通りかかりの警備員に事情を話し、彼の案内で1階の玄関ロビーまで戻ることができた。
おお、よかった、助かった~♪♪
しかし虎ノ門ヒルズの無人の玄関ロビーなんて、めったに来れないぞ。
せっかくなので、、、私は無人の玄関ロビーをしばらく自由に歩いてみることにした。
私の靴音だけが聞こえる。
昼間とは違い、時が止まっているようだ。
そしてインフォメーションセンターの壁を見上げると、宇宙旅行のような幻想的絵画が飾ってあった。
それが何とも言えない美しさで思わず私は息をのんだ。
私は美術館で絵や彫刻を見て感動するような人間ではない。
が、このときは柄にもなく感動して、しばらくこの絵を眺めた。
その後、ビルの前庭に出ると、昼間はただの人形だった建造物が、いまは見事にライトアップされていてこれもまた大きくて美しかった。
ビルの中で迷い、一時どうなるかと思ったが、ちょっといいものが見れて得した気分であった。