2022/03/26

Philippe Pacalet or Vina Cono Sur?

雨の中、ワイン教室にいってきたのだが、その途中、コレド日本橋のABCクッキングに立ち寄った。
最近は丸の内教室に行くことが多く、久しぶりだったが、コレド日本橋教室には最も多く通ってて、知らない先生に、お久しぶりですね、と声をかけられた。
U先生(私の担任)はいますかと聞くと、お昼休憩で離席中です、と言われた。
私はABCクッキングを出てしばらくフロアを散歩することにした。


コレド日本橋


コレド日本橋はトレンドの発信地である。
寄り道をすると様々な発見があり楽しい。
最近だとABCクッキングの隣に、マネードクター(通称マネドク)という高級感のある店舗が入居し、何やら景気がよさそうに見える。
ここは、FP(ファイナンシャルプランナー)のサービスをする急成長中の会社で、1月には支社長と名刺交換をした覚えがあるため知っていた。
おや、あちらの店舗は確か、MARKS&WEBのはずだけど。

「いらっしゃいませ、何かお探しですか??」
「すみません、あの~、ここってMARKS&WEBではなくって??」
「あっ、MARKS&WEBさんはすでにいなくなりましたよ。うちはパーフェクトポーションといって、コスメとアロマのお店です♪♪」
「そうなんですね、失礼しました。」

パーフェクトポーションねえ、、、ファイナルファンタジーのアイテムみたいな名前だな。
しかし、コスメキッチンはあるのに、MARKS&WEBがいなくなるなんて。
その後、すぐそばの日本橋高島屋へ。


黒澤文庫、レトロ喫茶店


新館に黒澤文庫というレトロ喫茶店ができた。
何度か行ったが、東北地方の店が東京に初めて進出してきた第一号店で、まだあまり知られていない。
茶褐色の看板には「本と珈琲とインクの匂い」と書かれていて、店員は印刷工のような灰色の制服を着ている。
古本が並ぶカウンター席。
コーヒーを飲みながら好きな本を読み、続きが読みたければ100円払って本のお持ち帰りができる。
ただ残念ながら、この日は座ったところに読みたい本がなかった。
もしよかったら、店内の壁に私のブログのQRコードでも貼り付けてほしいんだけど。


東京クリエイティブサロン2022


東京クリエイティブサロン2022


夕方になり、八重洲のシャングリラホテルの向かいのパソナのビルへ。
ビルのフロントヤードでは、「東京クリエイティブサロン2022」というブースがあり、何かのアートイベントをしていた。
この寒さとこの雨の中、外でよくやるなあ、と思ったが、入って出るだけのようなので、少しの間、のぞいてみた。
その後、ワイン教室に到着。
例のピュリニーモンラッシェのマダムから、遅刻かも、というLINEが入っていた。
教室にはBさんが座っている。
Bさんはクラシックコンサートのプロモーターで、シプリアンカツアリス(Cyprien Katsaris)のコンサートの案内をもらった。
カツアリスというと2018年夏、横浜のみなとみらいホールで一度聞いたことがある。
鍵盤の魔術師ともいわれる技巧派で、アンコールなどでは変幻自在の即興演奏を披露する変わり者のピアニストである。
今回のコンサートは、葛飾アイリスホール(かつしかシンフォニーヒルズアイリスホール)なので、かなりの近場である(リンク)。


シプリアンカツアリス、ピアノコンサート


T先生が入ってきた。
この日のテーマは、新しいスタイルのワインについて。
オーガニックワイン、ビオディナミワイン、ヴィーガンワイン、オレンジワイン、低アルコールワイン、ノンアルコールワインなどなど、最近ワインのスタイルは多様化している。
T先生の講座は少数精鋭、WSET3以上を想定した内容で、レベルも高いが、オーガニックワインとビオディナミワインはナチュラルワインの括りで、2020年3月に定められたINAOのルールによればその定義はどうのこうの。
う~ん、確かに、両者の違いはなかなか分かりにくい。

「ビオ・ワインとは出来る限り自然のままの製法で作られたワインであり、 自然派ワイン、ヴァン・ナチュール(仏:Vin Naturel、英:Natural Wine)とも呼ばれる。原料となるブドウは、農薬や化学肥料が使用されない有機農法で育成されることが前提となり、 醸造過程においても後述する様々な条件が求められる[1]。これらの条件を満たし、更にスピリチュアルな要素の強いバイオダイナミック農法が応用されたワインはビオディナミ(仏:Vin biodynamique)と呼ばれる。逆に、有機農法を採用していても醸造過程で何らかの添加が行われたり、調整が加えられるものはオーガニックワインとなる。」

「ビオディナミワインとは、ドイツの思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した、「土壌が本来持つエネルギーと自然界に存在する力で農作物の生命力を高める」という考え方に基づいた、「ビオディナミ農法」で造られたワインのことを指します。ビオディナミは「生体力学」という意味で、化学的な農薬と肥料を使わず、天体の動きとの調和、動物との共生、独自の調合剤の使用を特徴としています~(中略)~ビオディナミワインでは、ビオロジック(有機栽培)に加え、「自然由来の物質を使った特別な肥料を使う」「天体の運行に合わせた栽培を行う」という条件がさらに加わります~(中略)~ビオディナミ農法の認証を行っている推進団体「Demeter(デメテール)」が指導・認証したルールに基づいて栽培・醸造されます~中略~ビオディナミワインで使用される肥料は、たとえば牛の糞やタンポポなどです。牛の角や腸に詰め、一定期間を土の中で寝かせたものが良い肥料となります。」

ということなのである。


WSETワイン講座


さて、テイスティングの時間となった。
白3つ、赤2つ。
白3つはシャルドネで、赤はどちらもピノノワール、それはすぐ判別できたのだが、講座のテーマが新しいスタイルのワインということで、どのワインがどう新しいのかを見極めなければならないと、先生に課題を出された。
しかし、そこは非常に難しい判断だ。
なぜなら、製造過程の様々な違いにより、伝統的なスタイルとは異なった仕上がりとなるからである。
そのうち私は、左から2番目と3番目がシャルドネではなく甲州のようにも思えてきた。
すると誰かが、白は全て甲州ではないかと言うので、やっぱりそうかしら、と思ったら、先生いわく、全てシャルドネです。
亜硫酸塩無添加、サスティナブル農法などで、シャルドネが甲州っぽい仕上がりとなったようだ。


WSETワイン講座


続いては赤の方。
4番目は高価格帯のブルゴーニュと思った。
5番目は同じピノでもやけにクリアーで抜けるような感じのテイストで、こちらはオーガニックの中~高級品、とすればニューワールド、チリだと思った。
これは当たりだろう。
答え合わせの時間まで、どちらの赤もおいしいのでちびちび飲んでしまった。
先生が採決をとる。
すると、全員、私と同意見。
しかし、先生いわく、4番がチリのカサブランカヴァレー(Vina Cono Sur、ヴィーニャコノスル)、5番がブルゴーニュのニュイサンジョルジュ(Philippe Pacalet、フィリップパカレ)です。

(一同)ええっ、逆なの~??

これには驚いた。
が、配布された解説を読むと、なるほど、そういうことか、、、Vina Cono Surはフランスのオーク樽で長期熟成されており、Philippe Pacaletはオーガニックで作られたものだった。
講座が終了して片付けの後、帰ろうとする先生に私は声をかけた。
先生、これって、ひっかけ問題ですよね、と私が口をとがらせて言うと、先生は、とぼけた顔をして遠くを見つめた。
そして先生は、教科書を両手で抱えたまま、さっと事務室に消えてしまったのだった。