3月の門倉直子さんの展示会のことをまだ書いていなかった。
シリーズ全体が成長物語のようだ。
絵の中の女の子は次第に大人の女性になり、最後の絵は卒業または就職のシーンか、「時代」という作品である。
眺めながら私は、「そんな時代もあったねと~♪♪」という中島みゆきの「時代」を思い出したが、ミスマッチ!!
何枚かの絵のキャプションの近くに、赤いピンが刺してあった。
へ~、わりと売れてるんだな、と思った。
私がギャラリー巡りをしていて、売約済みの赤いピンが何本も刺さっているのは、非常に珍しいことなのだ(たいていは刺さっていないか、1本だけとか)。
そこで作品リストを眺めると、なかなかイイお値段だった。
後日、展示会の写真を、たまに絵を買うという知り合いに見せた。
すると、単なる女の子の絵で、美術史に残るような感じはしないですね、と言われてしまった。
あら、彼はこの絵にまったく興味がないようだ、、、
なるほど、単なる女の子の絵か、そう言われると確かにそうだ。
しかし、単なる女の子の絵とはシンプルということである。
お客さんはわりと買い求めやすいだろう。
ラーメンでいうと和風のさっぱり味、自宅の壁に気軽に飾れると思った。
これに対し、作家性を全面に押し出したインパクトの強い作品は、ラーメンでいうと家系のこってり味、そういうのだと、私はギャラリーで見てお腹いっぱいになってしまう。
私の印象では、現代アートのギャラリーでは後者のタイプを見かけることが多いような気がする。
なので、門倉さんの絵は私にとって後味がよかったということであり、すっかり書くのを忘れていたのだ。
しかし単なる女の子の絵というバイアスを取り除いて眺めると、様々な発見や楽しみがあるのではないか。
私は何となく、門倉さんの絵(世界は変化するが私は踊り続ける)が美術史の片隅に残ってもいいような気もする、、、いや、シロウトの私は何とも言えないので、これくらいにしておくが。