先週末は、兜町で日本テクニカルアナリスト協会のメンバー数人と秘密会議に出てきた、、、などと言うと怪しい話に聞こえるが、ものは言いようである。
秘密会議とは単なる飲み会、飲みながら話せば会議である。
この日は。投資顧問のセミナーがあって、内輪で数名が参加したのだが、ビデオの収録後に飲み会の予定があった。
ただ、いまはコロナ禍なので、飲み会のことを周知すると大人数が出席したがって飲みに行けなくなる恐れがあるということで、秘密にされたのであった。
その予定の前に、私は小伝馬町で別の用事があり、三越前駅で下車。
約束の時間まで日本橋界隈を散策した。
三越前駅~室町~小伝馬町~堀留町~通りがかりに椙森神社(すぎのもりじんじゃ)に立ち寄った。
椙森神社は日本橋七福神のひとつ。
日本橋七福神というのは、小網神社、茶ノ木神社、水天宮、松島神社、末廣神社、笠間稲荷神社のことである。
参拝後は、大通り沿いのカフェに入って休憩をした。
狭いカウンター席で2時間ほど、書類を作成するなどして過ごした。
夕方になり、徒歩で東京証券取引所の裏手にある日本テクニカルアナリスト協会のビルへ。
すぐそばに、日証館という立派な洋館があるのだが、その夜景がきれいだった。
日証館はかつて、渋沢栄一の邸宅だった。
Googleで調べると、1878年(明治11年)に東京証券取引所の前身の「東京株式取引所」が作られた。
その創立発起人は、渋沢栄一、木村正幹、益田孝、福地源一郎、三井武之助、三井養之助、三野村利助、深川亮蔵、小室信夫、小松彰、渋沢喜作。
日証館の現在の所有者を調べると、平和不動産のようである。
6時半過ぎで、勉強会はすでに始まっていた。
会議室のドアをあけると、古城理事長(元理事長)、テレビでおなじみの野坂さん、司会進行役のOさん、事務方のSさんの4人が、椅子に座って、林投資顧問の講義を熱心に聞いていた。
私は遅れて席に着き、講義の資料とお茶をもらった。
林投資顧問は、ぱっと見は谷村新司みたいな優しそうなおじさんで、温和な印象なのだが、実はものすごい勝負師なのであろう。
彼は泥臭く張らなければ相場は勝てっこない、と言っていた。
確かにその通りである。
テクニカルアナリストや投資顧問の相場論は、証券アナリストやファイナンシャルプランナーの、きれいごとばかりの相場論とは違うのである。
林投資顧問の昔話。
「大学のときは遊んでばかり~当時から相場をしてて、就職する考えはなかったのですが、卒業間近に結婚することになりまして、あわてて証券会社に入りました」
次は、野坂さんの昔話。
テレビ(日経CNBCなど)でおなじみのテクニカルアナリストだが、いまは某証券会社の投資情報部にいて、トレーダーとしての切った張ったの思い出話がおもしろかった。
続いては、古城理事長の昔話。
ええっ、理事長って、昔はそんな素敵なお仕事をされていたのですか??
これはちょっとビックリである(正解は花屋!!)。
しかし、この3人、いわゆる兜町の相場師と思うが、それは大昔の言い方で、今はトレーダーと呼ぶほうがなじみ深いだろう。
また、今の時代、トレーダーというほうが、スマートでカッコいいと思う。
今は横文字がウケるので、株式投資家よりもトレーダー!!
では、トレーダーと株式投資家の違いとは何だろう??
もちろん非上場株式の投資家などもいるので、ここでは上場株式の投資家ということになるが、私の印象だと、投資家は損をしている株主のことで、トレーダーは儲かっているが株主ではない感じがする。
まあ、株は売らなきゃ儲からないので、読者も納得でしょう。
ただそれは私の偏った印象かもしれないのでさておき、、、一般には短期筋か長期筋か、価格分析か価値分析か、などの違いによるといわれる。
しかし、トレーダーがデイトレーダーとは限らないし、株式投資家が長期投資をしているとも限らない。
売買の手口は様々で、これが相場の正解という理論や手法は存在していない。
トレーダーがファンダメンタルズを気にしないとも限らない。
また、株式投資家がテクニカルを分析していないというわけでもない。
実際には同じ取引者の1人であり、マーケットでほぼ同じこと(売り買い)をしているなら呼び方の区別は重要ではないはずだ。
相場師という言葉が死語となり、何かこう、しっくり来る呼び方がいまはないのだが、、、手品師をマジシャンというように、相場師をトレーダーというのが、私は似合っていて自然だと思う。
さて、帰宅は11時過ぎになってしまったが、協会のこれまでの勉強会の資料を整理して、ざっと読み返した。
左上が古城理事長の移動平均入門。
左下が先ほどの林知之投資顧問の資料である。
右上は、森谷博之氏のAIで株価分析~とある。
続いて右下を見ると、もはやファンドの多くがシステムトレード(コンピューター売買)をしており、彼らだって本当はトレーダーだということが分かる。
そういえば数年前、ペリーカウフマン(Perry Kaufman)の投資セミナーを聞いた。
彼はNASAの技術者から転身した著名トレーダーである。
カウフマンの奥さんも、トレーダーと名乗った。
会場の参加者からパフォーマンスを聞かれたとき、彼女はニコニコしてノーコメントと答えた。
こりゃ、旦那から教わって儲けているな、と思ったが、同時に私は、案外、女性の方が相場に向いているのでは、と思った。
女性は直観に優れ、ヘンに理屈っぽくないし、男性と比べて危ない橋は渡らないものの、大胆さや思い切りも持ち合わせているからだ。
しかしそれなのに、ファンドマネージャーもトレーダーもアナリストも、男性ばかりなのは不思議というか何というか、、、投資業界が、まだまだ男尊女卑という証拠ではないだろうか。
今後、女性がもっと活躍するようになるといいと思うのだが。