「体調はあまり良くないわ。でも、ご心配なく。私は病気ではないのよ。」
「精神的にはどうです??」
「気持ちが沈むけれども、それは今に始まったことではないわ。」
「ほう、そうでしたっけね。」
「年を取ってくれば全てが思い通りにいかなくなるから自然と気持ちは沈むのよ。年を取って、おもしろおかしく生きている人もたまにいるけれども、それは私にはできません。」
ということで、ママ殿は最近体調が悪いのだが、いろいろ話すと、私が深刻に考えすぎるのがよくないということが分かった。
「でも病院は??」
「重い病気と思うなら自分の足で病院にいきます。」
「いや、しかし、、、2月は元気だったのですが、あの時と比べるとやはり、いまはずいぶん違いますよ。」
「そうかしら??」
「そうです。私も最近、疲れ気味なんです。一緒に病院にいきましょうか。」
「あなたが行くなら、まあ、仕方がない。」
ということで、病院に連れて行ったのだが、最近多忙で疲れている私のほうが風邪薬をもらい、ママ殿には特段、新しい薬は処方されなかった。
これはちょっと意外だった、、、
「こないだ久しぶりに外出して、歩いててふらつくといっていたし、そういうのは大丈夫なんですか??」
「いまは大丈夫。何でもないわ。最近は家で座ってばかりいたからです。」
「本当に??」
「本当です。」
「ただ、せっかく健康なので転倒事故が私は恐いのですよね。」
「転倒事故というと自転車のこと??」
「そうです。」
私の最近の心配事というと、ママ殿の電動自転車のことである。
もし転倒して骨でも折ったら一大事なので、最近になり自制をしてほしいとお願いしていたのだが、これは良いチャンスである。
「ママ殿、すみませんが、やはり、あの自転車には乗らないでほしいのです。」
「いいえ、私は買い物にいきたいの。いまはいちごがおいしいから、いちごジャムをうんと作りたいのよ。いちごのパックをまとめ買いして荷台の載せて運ぶ必要があるのです。それに、5月は毎年、らっきょうを漬けなくてはいけない。」
「らっきょうかあ、、、」
「そうよ。早く買いに行かないと、良い砂丘らっきょうがなくなってしまうわ。」
「そうでしたね。遅く買いに行くと、砂丘らっきょうは、大きくてカタいやつになってしまうんですよね。」
「そうなのよ。時間がたつと何でもひねくれてしまう、あなたのように。」
「(;´・ω・)ま、まあ、それはいいとして、しばらくの間は、往きは私と一緒に歩いてくれませんか。帰りは荷物があるのでバスにしましょう。」
「私はすっかり元気なのに。どうしても、自転車に乗るのはだめなのね??」
「う~ん、念のため、ですね。もう少し様子を見て、すっかり元気になってから。」
「そうね、仕方ないわね。」
とまあ、こんな感じでママ殿は自転車に乗ることを望んでいるのだが、念のため、やめてほしいと言っている。
しかし、先日ふと気付いたが、リスク要因を考えると、私が外出している間にママ殿がこっそりママチャリを乗り回す可能性は大いにあるのだ。
そこで先日は、ママチャリにはあまり乗りたくないのだが、私は思わず乗って外出してしまった。
昼間になるべく長時間、物理的に占拠してしまえば心配もない、ということであるが、これは持続可能な戦略ではない。
なお、読者は、私がママ殿の代わりに買い物をすればいいと思うだろう。
私もそう思うのだが、それだと野菜や魚を厳格に選別できないのでだめというのである。