10月になった。
街を歩くとハロウィンの影が見えてきて、今年もあっという間だったな、と思う。
何があっという間だったかはともかく、その次は恋人たちのクリスマスが控えており、こちらを考えると気分は深刻である。
そうやって今年も、忙しくしているうちに年末が来て、大晦日が終わるのだろう。
先日は日比谷駅でおりて、ミッドタウン日比谷でランチをしようと思った。
が、正面玄関横のレクサスカフェがリニューアルオープンのため休業中であった。
そういえば、エキュート上野も、一部店舗がリニューアルオープンの準備中で、駅構内が閑散としていたのを思い出した。
それにしても、ミッドタウンなのに、やけに人が少ない。
何で??
10月最初の月曜日だから??
不思議な日もあるものだなあ、と思ったが、今はちょうど、季節の変わり目、節目なのである。
私はミッドタウンの正面玄関を出た。
そして、すぐ近くの香港料理店「添好運(Timhowan)」へ向かった。
実は、「添好運」は、現在、私の気になるレストランのひとつである。
私が気になる理由は、リーズナブルであるがミシュラン店であることと、大学の後輩で香港出身の方が、おすすめしていた店だからである。
私は入口で、男性店員に声をかけた。
「あのう、ここって、いつも行列ができてたと思うんですけど・・・今日はこちら、入ってもいいんでしょうか?」
「入れますよ。中へどうぞ^^」
というわけで、私は意外にも、並ばずに、直ちに入店できた。
メニュー表にラーメンがないので、、、どんぶり物を注文した。
先ほどの男性店員が運んできたのは、何とも斬新などんぶり物であった。
このどんぶりは・・・私がABCクッキングで卵や小麦粉をかきまわす入れ物(ボウル)にソックリ(*'ω'*)!!
食べてみると、、、甘い味付けで、食べやすい。
分かった。
これは香港の屋台料理だ!!
香港に屋台があるかどうかは知らないが、たぶん、あるだろう。
アジア諸国の屋台の料理、あるいは、日本のたこ焼き、お好み焼き、焼きそば、そんなメニューをイメージするといいだろう。
後輩の言う通り、気軽に食べられるし、なかなかおいしかった。
が、私の当初の期待や想像とは大きく違っていたため、その点で、私は十分な満足感を得られたわけではなかった。
店を出て振り返った。
それにしても、この日の「添好運」は拍子抜けであった。
これまではランチタイムを問わず、店先に長い行列ができていて、いつも満席で、私はこの店を通りすがりに眺めるだけだった。
しかし、この日ばかりは不思議なことに、都内はどこも人がまばらであったから、やはりこの店にも行列がなく、店員に聞いてみたら、あっさり入れたのである。
なるほど、「添好運」は私に、いいことを教えてくれた。
私は、ふと、こう思った。
いつも男たちから愛の告白をされている彼女も、「添好運」と同じようなものではないかと。
つまり、これまでは彼女をものにしたい男たちの行列のようなものが常にできていて、私は彼女を眺める程度であった。
が、ある時期、どういうわけか、寄り付く男がいなくなる。
「添好運」と同じで、まあ、そういうこともある。
すると彼女は、突然来客の途絶えたお店の経営者のような気分になって、不安や焦りを覚え、自分から周囲を気にしはじめる。
たまたまそのとき、通りすがりに勇気を出し、私だけが彼女に問い合わせてみる。
「あのう、あなたって、いつも行列ができてたと思うんですけど・・・週末のご予定は、いかがでしょうか?」
「週末は大丈夫ですよ^^」
と、彼女はあっさり、ランチもデートもOKする。
案外、恋愛の勝敗なんて、そんなふうに簡単なタイミングで決まるのではないだろうか。