2023/11/13

(第4部)名画「舞踏会の手帖」を紐解く

こないだ担当の美容師に見本を届けたが、以前、この美容室で彼女が不在のとき、スタッフが映画好きというので、「舞踏会の手帖」という古いフランスの名画を紹介したことがある。
監督は大御所ジュリアンデュヴィヴィエで、確かこのような内容だと記憶する。

主人公は豪邸に住む資産家で、夫が早世し、未亡人となった美女である。
彼女はさみしそうにして寝室に滞在しているが、学生時代に憧れていた人たちがいま、どこでどうしているだろう、と想い起こす。
ふと、寝室の机の引き出しをあけると古い手帖があって、彼女が手に取って開くと、手帖には、当時、舞踏会のときにステキだ!と思い、連絡先を交換した男たちのことが書いてある。
それを眺め、彼女は、昔の男たちを訪ね歩く旅に出る。

しかし、彼女は行く先々で、当時憧れていた男たちの転落ぶりを目の当たりにするのだ。
例えば、芸術家OR作家?志望のハンサムな青年は自殺しており、玄関に出てきたのはノイローゼの母親なのである。
医者になった男の自宅を訪ねると、彼はいま持病を患っていて手が震えており、まともな診察ができないもぐりの医者となっている。
堕胎手術の件で訪ねてきたのか、と彼女に失礼なことを訊く。




ほかはめんどうなので省略するが、どの男もモンダイがある。
そして、最後から2番目に登場する小太りでブサイクな男が最も幸福そうに見える。
彼は小さな床屋を夫婦で経営している。
子供に囲まれ、平凡で質素に暮らしているのだが、「ささやかな幸せ」としてそれが見事に描かれているのである。
彼が舞踏会でカッコよかったのかは定かでないが、恐らく、カッコよくなかっただろう。
だが、少なくとも、現在の彼は不幸ではない。
逆に、舞踏会でカッコよかったグループの男たちは、彼女が訪ねた限りでは、総じて不幸になっているのである。
ここに、ひとつの人生の教訓が読み取れそうだが、それに同意や共感ができるなら、お相手を選ぶ場合には、理髪師や美容師がひとつの選択肢となるだろう。

美容室でスタッフに話したのはここまでである。
しかし、主人公の彼女はこの理髪師の男に対して魅力を感じていないし、この家族をうらやましいと思わなかった。
床屋の次のラストシーンで彼女は美少年と出会う。
若すぎるので彼女は彼を養子にするのだが、保守的な時代背景もあってか、彼女は再婚しなかった、というか、結婚できなかったのだ。

私は、彼女がもともと夫を愛していなかった、と推測する。
まず、名誉と財産ほしさに、好きでもない資産家の男と結婚し、我慢の時代を過ごしたようだ。
その後、夫が早く死んで遺産が入ると、寝室の机の引出しから「舞踏会の手帖」を取り出した。
手帖を紐解き、リストアップされた男に会いにいくための旅に出た。
彼女の旅は、愛する夫が死んで、その傷をいやすためのセンチメンタルな旅ではなく、ある意味、彼女自身が予定していた旅である。
その目的は、眠っていた自らの欲望をみたすための相手探しである。
ということで、フランス映画は、上品なようで、実は生々しいのである。

最後に。
それで、ふと思い付いたのだが、、、私もチョット「舞踏会の手帖」のまねごとをしてみようと思うのだ。
私は、本を出したので、次は新しいことを始めようと思っている。
しかし、その前に、ひと息つきたいのだ。

私は、スマホの連絡帳を開き、画面を指でなぞった(*'ω'*)フムフム
第4部では、それを眺め、私は昔の女たちを訪ね歩く旅に出る。。。

というのは冗談で、私の場合は「舞踏会の手帖」のまねごとといっても、趣旨も目的も異なる。
知り合いに拙著のPRをするための旅である!?

本は売ってナンボ!

まずは早速、発売日前夜、終活講談でおなじみの講談師神田織音さんと記念撮影をさせていただいた。


(講談師神田織音さんと)


(ライブペインティングアーティストSTONE63さんと)


(STONE63さんの作品と)


(近所の美容室の担当の美容師さんと)