(樋口一葉の小説) 「花ごもり」のあらすじは、上記のようなものである。
親のいないおしんは、いとこの家(母子家庭)に居候をしている。
そのいとことは両想いである。
しかし、立身出世のため、彼は良家のお嬢様との縁談を受け入れる。
おしんは、この家にいられなくなり、家を出る。
そして、奉公先・・・いまで言うと住み込みのバイト先で、画家夫婦から絵の手ほどきを受ける。
その後、彼女が職業画家になったのかはよく分からないが、彼女は恋しくなったとき、カンヴァスに彼の姿を描くという。
私は、「花ごもり」のあらすじを読んで、しばらく考え込んだ。
ええと、、、確か、最近見た展示会で、似たような話があったな。
私は、資生堂ギャラリーの展示会を思い出した。
(2024/06/08「1024アートホテル行(1)BNAWallアートホテルイン東京」)
3月のある日。
私は、久しぶりに、銀座の資生堂ギャラリーをのぞいていた。
今回は岩崎宏俊さんの個展であった。
案内板には、林田真季、野村在、岩崎宏俊・・・3人のアーティストの名前があったので、3人のコラボあるいはシリーズのようだった。
私は、薄暗い地下へ続く階段をおり、受付の前を通り抜け、薄暗い展示スペースに出た。
すると、そこには、ノスタルジックなドローイング作品が展示されていた。
展示スペースを歩きまわった後、私は、白い長椅子に座った。
ここは観客席、目の前の白い壁に字幕付きのショートムービーが流れている。
私は最初、興味がなく、下を向き、スマホをいじっていた。
が、最後の方で、ハッとしてスクリーンを見た。
(ブタデスの娘は、離ればなれになってしまう恋人の影の輪郭をなぞり残したという~)
(絵画の起源とされるこのエピソードを~)
(彼は”追憶のドローイング”と呼ぶ)
私は、このあたりのくだりが、アーティストとアートのことを、うまく説明していると思った。
その後、もう一度この物語を見直したが、過去を現在にする、これも重要なキーワードだ。
おや、もうそろそろ、出なければ。
私は、資生堂ギャラリーから外に出て、エクセルシオールカフェに入った。
抹茶ラテを持って、2階に上がると、窓際のカウンター席に座った。
窓の外を眺め、抹茶ラテを飲んでいると、付近のテーブル席の男女の会話や、カウンター席の電話の声が聞こえてきた。
別れ話をする中年男女もいれば、これからデートの約束をする若い男女もいる。
あそこのテーブル席の男女4人のグループの会話は面白い。
水商売の女のグラビア出演(?)の条件交渉をしているようだ。
カウンター席では、羽振りのイイ紳士が、都内の不動産の売買価格を電話で話している。
私は、欲にまみれた銀座の人たちのさまざまな会話を、おもしろおかしく聞いた。
その後、手帳を開き、メモ欄に先ほどの展示会の雑感を書きはじめた。
画家が絵を描くきっかけは、恋人との別れ?
その追憶に基づき、絵が描かれる。
作家が物語を書く動機も、同じく、恋人との別れではないか。
その追憶に基づき、物語が書かれるのだ。
こないだ見たMETオペラ「ロミオとジュリエット」も・・・何だか、どれも閉じた世界の話で、悩んでいるなあ、と思った。
さあ、そろそろ出よう。
これから、向かいのビルの東京三田倶楽部(慶應OBの会員制サロン)に行く用事がある。
本日のイベント(例会)に誘われたので、参加するためだが、そのさい、ここの会員で企画担当のOさんから、私は相続セミナーの講師を依頼された。
私の相続セミナー(相続勉強会)は、5月31日に開催された。
■講演概要
1.終活とはどのようなものか
2.遺言書とエンディングノートの重要性
3.認知症の準備と対策
4.デジタル終活をしてみよう
最近、話すことの多いデジタル終活だが、これをメインテーマにして簡潔にまとめた。
大先輩たちを相手に話すのは、大変緊張したが、、、次回は、講師としてではなく、誰かと気軽に遊びにいきたいものだ。