2024/09/01

アートホテル行(2)KAIKA




神田明神は、御茶ノ水からいくと、正面の鳥居から入ることになる。
しかし、末広町や秋葉原からだと、明神下の交差点から、①直進して坂を上がると左手に有名な鰻屋「喜川」があり、その脇の参道から入るか、②明神下の交差点を左折して男坂と女坂のどちらかから入るか、である。
私は明神下の交差点を左へ曲がり、手前の男坂に行き着いた。

湯島天神と同じく、神田明神にも男坂、女坂がある。
神田明神の場合、男坂を上がる途中、KAIKAというオフィスビルがある。
案内板があり、かつてここに料亭「開花楼」があったという。
千駄木の森鴎外記念館周辺(観潮楼)もそうだが、ビルが建ち並ぶ以前は、高台の見晴らしがとてもよかった。
開花楼では、作家の島崎藤村が結婚式をあげたという。

なるほど、KAIKAとは運命の開花の意味だったとは。
ローマ字だと何のことか分からないではないか。








私は登り切って、男坂を見下ろした。
女坂とはどこで合流するのだろう。

Googleマップで調べてみた。

神田明神の男坂と女坂は、少し離れた場所から神田明神裏手に向かって登るようになっている。
また、写真を見ると、女坂も男坂と同じくらいきついのが、神田明神の特徴である。
どうも、こちらは、お互い、公平で適度な苦しみで、良いと思った。

両者の合流地点は、結局、神田明神男坂門である。
門を入ると右手に、ご神木と、さざれ石がある。
その目と鼻の先が神田明神の本殿である。








以上は、2024/08/10「神田明神の男坂門」より。

さて。
私は、お盆前に夏風邪で1週間ほど寝込んだが、まだ夏風邪があとをひき、体調が悪い、、、
夏風邪は長引くといわれたが、本当だった。

しかし、風邪に特効薬のようなものはないのだ。
原稿の執筆も捗らないまま、、、何か元気の出る薬のようなものがないだろうか(*'ω'*)ウーム





そこで、8月21日、気分転換に、ぶらりと上野~東京へ。
お昼過ぎ、東京から両国のアンティークカフェウール倶楽部に到着。

前回記事にあるように、ここは、お盆前に行ったばかりだが、今回は、コーヒーとガトーショコラのケーキセットを注文した。
食後、会計の前にトイレを借りた。
そのとき、トイレの手前の狭い通路に絵が飾られていて、私は、その絵が気に入ったので、スマホで撮影した。





私は、美術のデッサンのヌードモデルはどれくらいのギャラがもらえるのだろう、などと思った。
最近は、演劇や音楽の世界でセクハラなどのニュースが話題になることもあるが、それなら、美術の世界は、なおさらでは?
そういうことが芸術の名のもとに正当化されていてもおかしくないが、実際どうなのだろう?

その後は、両国駅の反対側へ。
国技館通りを歩いた。
最近の私は、傘をさして歩くようになり、すっかり傘が必需品となった。
もちろん紫外線対策もあるが、日中の強い日差しに当たると疲弊するし、汗をかき、屋内のエアコンで身体が冷えてしまう。
これが、今回の夏風邪の原因と考えられた。




両国国技館の前を通り過ぎ、旧安田庭園へ。
そこから、隣接の刀剣博物館へ。
ただ、私は刀剣に興味がないので、エントランスだけ見て、脇道に入ると、まもなく、同愛記念病院の看板と入口が見えた。

刀剣博物館の向かいの建物が、同愛記念病院か。
実はここは、お相撲さんが通院する整形外科の名医として有名である。
骨折した人から、骨折したらここがおすすめと聞いたことがあるが、実際どうなのだろう?





刀剣博物館と同愛記念病院の路地をしばらく歩き、左折すると、都立横網町公園がある。
私は、公園の中を突っ切って表門の方へ。
そちらは、都立復興記念館があり、やけに大きくて立派な建物であった。
静まり返っていて、この酷暑に涼しそうなところである。
ただ、何となく不気味に見える。

1923年9月1日は関東大震災の日。
1945年3月10日は東京大空襲の日。

いずれも、墨田区はひどい被害を受けた。
復興記念館は、そのような展示がされているが、正直、気軽に見たくなるところでもない。
が、時期的に、関東大震災はいつ起きてもおかしくないし、北朝鮮のミサイルだって飛んで来る可能性はゼロではないのだ。
今度、機会があれば、見てみよう。

あ、、、ペットボトルのお茶が。。。(*'ω'*)

私は、コンビニを探し、大通りに出た。
さらにジグザグ歩くと、やけに広い道になった。

その道路は、見覚えのある平坦な道だった。
しばらく歩くと、信号待ちの若い女性がいる。
髪の毛が紫色で、黒い服を着ていて、一見して、アーティストっぽい。

信号が青になり、私も彼女に後れて横断歩道を渡った。
少し歩くと、通りの向こう側に見えてきたのは(*'ω'*)、、、KAIKAの文字の看板であった。




アートストレージホテル東京KAIKA。
なるほど、両国駅から浅草方面に歩いて、東側に道をそれたから本所吾妻橋の南にたどり着いたのだ。

アートホテルKAIKAには、長い間、行ってなかった。
浅草駅から隅田川を渡り、何度か作品を見に行ったことがある。
手帳を調べると、去年8月、大澤ハルさんの展示作品(上記写真)を見に行って以来である。







ここは、今流行りのモダンな造りのアートホテルで、1階にギャラリーとカフェがある。
せっかく通りがかったので、ギャラリーを見て、カフェで休憩することにした。

今回は、上田まおかさんという女性アーティストの展示会だが、入口脇のこの小部屋(ギャラリールームA)に展示されるアーティストは、強烈な個性があり、売れっ子、あるいは売れっ子予備軍が厳選されているような気がする。
恐らく、場所がほぼ浅草で、外国人観光客が行き帰り、ほぼ必ず見るところだからではないか。

これに対して、カフェにも展示作品が何点かあるが、こちらはカフェの雰囲気に合う、モダンなインテリア作品が選ばれていると思う。
アートホテルKAIKAの1階は、全体的に、とても素晴らしいギャラリーに仕上がっていると思う。





ギャラリーAとカフェの間には、お馴染みの金網の展示室がある。
その中に、ユニークな作品が監禁されている。
が、相変わらずスマホで撮影しにくいし、一生懸命に目を凝らして中を見てしまう。
それにしても、ここで、大仁田厚の金網デスマッチと、乱闘劇をイメージしてしまうのは私だけ?(*'ω'*)

その後、カウンターでアイスティーを注文。
夏休みだからか、カフェはほぼ満席だった。
私はアイスティーのトレイを持って、仕方なく、一番遠い、はじっこの席へ。。。

おや(*'ω'*) こんな作品、、、前は、あったっけか?






またしても女性のヌードだ。
今度のヌードは、ずいぶん、スケールが大きい。

歩いてキャプションを見に行くと(絵の左隅の壁にある)、この絵は倉敷安耶さんの作品であった。
絵の女性は、シェークスピアの「ハムレット」の登場人物オフィーリア。
オフィーリアが川に転落して死んだシーンと書いてある。

ハムレットは詳しくないんだよなあ、、、(*'ω'*)

私は、アイスティーを少しずつ飲みながら、彼女の絵を眺めた。
まず、久しぶりに彼女の絵を見たが、以前と変わったなあ、、、と思った。
以前の作品は複雑で、作り込みすぎているかんじがあった。
文章でも会話でもそうだが、相手に伝えたいこと全てを伝えると重すぎる。
腹八分目ではないが、余計なものを削ぎ落とし、どうしても大事な部分だけ伝えるようにする。
そのようなコンセプトは絵画制作でも大事ではないだろうか。

その点、この絵は非常に洗練されており、多くの鑑賞者の直観や感情に訴えるものがある。
ダークで悲劇的な題材、内容でありながらも、どこか明るさや希望の光が垣間見えるのも、私にとっては、ホッとする要素だった。
画家としての彼女の人生も、今後そんなふうに、明るい方向へ、希望の光へと向かうように思えた。