2024/09/15

分離の予感?

「ママ殿は、お彼岸の墓参りは行きますか?」
「行かないわよ。あなた、代わりに行ってきて」
「まだ暑いから、しんどいですよね~」
「そうね、暑いのもあるけど、78才にもなると、わざわざ東京まで行きたいとは思わないのよ。近所ならいいけど、遠くに行くと疲れるから・・・単に、めんどうくさいのよ」
「そうですか。まあ、9月なのに異常な暑さですから、無理する必要はありません。私ひとりで行ってきます」
「よろしくお願いします」




私はひとり、圓通寺に、墓参りに行った。
ひとりなので、都内の用事があるとき、途中で立ち寄った。

曳舟駅前のスーパーで、花を買い、スカイツリーのふもとの圓通寺に着いたのは、炎天下の12時過ぎ。
路地のコンクリートも、境内の石畳も、墓地の墓石も、ヤケドするほどの熱さに違いない。

重たい水桶を持って、境内をヨロヨロ歩き、墓地の方へ。
私は、墓地の入口の木戸の前で、傘をとじた。
最近の私は、暑さ対策で、傘をさして歩いているのだ。

墓前に花を供えてみたものの、この日差しで、せっかくの花も、すぐ枯れてしまいそうだった。
私は、墓石にたっぷりと水をかけた。
しかし、焼け石に水とは、まさにこのことだ、、、
暑すぎて、墓前に長居はできない。

私は、数分で墓地を出た。
水桶を戻すため境内に戻ると、社務所からちょうど住職の奥さんが出てきた。
いつものことだが、挨拶をした後、しばらく世間話になった。




圓通寺を出た後は、押上駅から都営浅草線で、宝町に向かった。
宝町の駅前には国立映画アーカイブという日本映画の資料館がある。
いまは、ぴあフィルムフェスティバルの最中であった。

名画の上映会で、なかなか面白そうだ。
ちょっと中に入ってみるか。

おや、珍しい、、、国立映画アーカイブに、行列ができているなんて。
若い人も結構いる。
最近は、ネットフリックスやアマゾンで昔の映画を簡単に見れるが、映画館のスクリーンで見るのは、やはり、別格である。

でも、これから私は用があって、映画1本見る時間はないのだ。
私は、1階ホールの学生のポスターの展示会だけを見ることにした。





ともすれば、最近の若者はこうである、Z世代とは~というように、マスコミは一括りにして決め付けようとする。
すると、それに影響された中高年が、彼らを偏見の目で見たりして、世代間の対立は深まる。
しかし、表層的理解、典型的理解では、個々の事情を問題にせず、無理解に等しい。
いつの時代も、私たちの青春や人生は、同じようなモンダイを抱えており、世代を超えて同じように悩んだりしているのではないかと思う。

このポスター展、5~10分ほどで見終わる簡単なものだが、非常に素晴らしかった。
学生らしい直球勝負のポスターばかりだった。

直球勝負、、、自信がないと変化球勝負をしたくなる。
が、打たれてもいいから直球勝負をする、そのマインドは大事だ。










私は、特に印象に残った上記3枚のポスターを繋げ、いろいろ考えた。

鎖・・・分離の予感・・・わたしのゆくえ。

鎖を断ち切り、別れる・・・そして、わたしはどこへいくの?




その後、用事が済んで、私は、宝町駅前のラーメン屋「ゆかり」に立ち寄った。

最近まで、ここには、ギャルリーフロレゾンという小さな画廊があり、今年2月に閉廊し、4月からラーメン屋「ゆかり」になった。
前回は、オープンしてまだ2ヶ月ほどで初々しかったが、もうすぐ半年たつのか。

月日がたつのは早い。。。

私は、入口で食券を買い、厨房のそばのカウンター席へ。
立ち食いそば屋のような物件で、店内は、かなり狭い。




カウンター席の壁に、張り紙がある。
インスタのフォロワーには無料サービスをしてくれるというが、この紫のエプロン姿の女性が、オーナーのゆかりさんである。
厨房では、こうして紫のエプロンを着て、ひらすら、ラーメンを作っている。
客対応をしているときの彼女は笑顔を絶やさないが、ラーメンを作っているときの彼女は真剣勝負そのものだ。

ああ、真剣に何かを作っている女性ほど美しいものはない、、、

5分ほど待つと、アシスタントの女の子が、ラーメンを運んできた。
私は、インスタのフォロワーであることを伝え、味玉をGET。




うーむ、やはり、おいしい(*'ω'*)//♪

ほんのり甘くて、いやされるラーメン。
いやされたい近隣のサラリーマンのみならず、ラーメン好きの女性にもおすすめである。

店を出ると、外はもう暗かった。
昼間は相変わらず、ばかみたいな暑さなのに、日はどんどん短くなっていく。
ビル街を歩くと、何となく秋風を感じた。