2024/10/24

何となく分かる・・・でも、よくは分からない、それがアートだ

 


慶應の三田キャンパスの近くにある、港区産業振興センターのピッチイベントにいってきた。
ベンチャー企業4社の社長や幹部が登壇したが、中でも注目は、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社。
アーティストとしても有名な落合陽一氏が代表取締役をしているベンチャー企業である。
ナスダックに上場を果たしている。

そのピクシーの登壇者が、会社方針のひとつ、「敬意と衝突」について語ったのが、私には非常に印象的だった。
以下は、敬意と衝突についての要約で、私なりの考えも含めてのものだ。

人はそれぞれ違うので分かり合えない。
が、相手に対し敬意をもって接するのが原則だ。
それと同時に衝突する必要もあるという。
衝突することで新しい価値が生まれる、衝突を恐れないマインドが備わっていなくては、良い仕事はできないからである。
衝突は必要かつ重要なプロセスとわりきれるかどうか、これは、ビジネスの世界に関わらず、何かを創造したい人も同じだと思う。




トークセッション後の交流会。
私は、会場を歩き回り、何人かと名刺交換をした。
やはり、慶應からふらふら来たお兄さんがいて、私は彼と少し話した。
わかれるとき、私は彼に、六本木通りのルルレモン(lululemon)の場所を聞いた。

「あれ、もう帰るんですか?」
「ええ。今日は六本木アートナイトがあるんですが、遠山さんの路上ライブを聞きたいのです」
「遠山さんって、スープストック東京の社長?」
「そうです。こないだイベントのとき、遠山さんは、六本木通りのルルレモンの前でやるといってたが、ルルレモンって、どこだか知ってますか?」
「六本木ヒルズの近くの芝生のところですよ」
「ああ、あそこか」








ということで、六本木アートナイトでは、雨の中、「新種の老人」遠山正道氏の路上ライブを見てきた。

遠山さんは、スープストック東京や、Art Sticker(The Chain Museum)などの社長である。
また、画家でもあり、女子美術大学の教授でもあるというスゴい人だが、ふだんカジュアルな格好(作業服など)をしていて、ぜんぜん社長業には見えない。
そして、実際話すと非常に気さくな人柄である。

ライブが始まると、自作の歌詞を30分ほど、気ままに歌っていた。
私は、雨の中、人ごみに入るのがイヤで、少し離れた場所で、傘を差しながら聴いた。

歌詞は面白いが、結構シリアスだな。。。

アーティストや詩人・・・彼らは、何気ない日常の出来事や風景を、こんなふうに想像力を働かせて見たり感じたりしているのか、と思った。
彼らは、一般には想像もできないことを想像し、それを言葉にしたり、絵にしたりしているのだ。
これは、想像というよりは妄想といってもよさそうである。
鑑賞者は、その妄想的世界に共感できるかできないか、ということだと思うが、、、何となく分かる・・・でも、よくは分からない・・・アートや文学って、そんなものではないだろうか。




後日。
私は、京橋のブリリアアートギャラリーで、落合陽一氏の展示会を見てきた。
9月のまだ暑いうち、ギャラリーの前を通りかかったとき、チョット気になってはいたのだが、、、今回、ピッチイベントをきっかけに、初めて落合陽一氏の作品を間近で見てみようと思った。

近所のポーラミュージアムでは、アンリマティスの所蔵作品が展示されていた。
ポーラのギャラリーはたくさんの客で、賑わっていた。
が、ブリリアのギャラリーで、私は、30分ほどの滞在中、1人の客とも出会わなかった。
まあ、この周辺の現代アートのギャラリーも、私が行くと、いつも、1人か2人の客がいるかいないかだから、これが普通なのだ。
しかし、果たしてこれで現代アートはビジネスとして成り立つのか、また、現代アーティストは作品を売って十分なお金がもらえるのか・・・などと思ってしまった。

落合陽一氏の展示は、理系男子が部屋にこもって夢中になって作っていそうな作品群で、私は、ひとつひとつの作品を眺め、とても楽しい時間を過ごした。
例えば、工学部出身のアーティストや、建築系のアーティストなどもそうだが、緻密に作り込まれた美の世界、計算された美の世界だと感じる。
芸大出身の女性アーティストの感性とは、また違った凄さがある・・・これは、女性の感性よりも男性の理論によるのだと思うが、落合陽一氏は結構、ハードボイルドなタイプでは?などと思った。