2025/02/02

トッピングの罠

「妻家房」は、全国展開している韓国料理店で、結構、有名だと思う。
サイカボウと読むのだが、私は、ここに入るのは2回目だ。

写真フォルダを見ると、前回の初入店は、2018年2月だった。
六本木で、カジュアルなワイン会に参加したとき、知り合った女性に誘われて、初めて食べた。
しかし、このとき食べたものは、そこまで辛くなかった気がする。











彼女とは何度か食事をしただけだったが、当時の彼女は、私がこのように法律の本を書いたり、マジメな仕事をするとは思わなかっただろう。
私自身も、そうなるとは思っていなかった。

人の将来とは、実に分からないものだ。
それは、大きな可能性があるということと同時に、一寸先は闇ということでもある。
だから、いつどこで何があるか、気を付けなくてはいけない。
また、良いことがあっても、喜んでばかりはいられないのである。

(以上、2025/01/13「新年早々、妻家房」より)


1月のある日の午後。
都内の用事を済ませてから、日本橋高島屋に行った。
セールの冬服を見たいのと、喫茶店で時間調整をするためだ。
館内のカフェはどこも混雑していて、私は、結局、スターバックスに入った。
スマホの充電もしたいので、相席の大きなテーブル席へ。





おや、このトッピングは、金粉!?
ラッキー!(*^^*)

スターバックスは、トッピングが有料である。
だから、私は普段、頼まないが、たまに何かのサービス(?)で、トッピングを無料でしてくれることがある。

ズバリ、今年の自分は、金運が良いのではないか。
実際そのような兆候があるのかと問われると、何とも言えないところなのだが。
ママ殿の購入した年末ジャンボ宝くじは、大ハズレだった。

あるいは、金粉≒ゴールドを買うと値段が上がって儲かる、そういう示唆かもしれない。
ゴールド価格は長年、上昇を続けており、今後さらに上昇する可能性がある。
これは、欧米日の中央銀行が超低金利の金融緩和(バラマキ)をしていたことによるものだが、天下の日銀は、先進国の中では最も遅く金融緩和を始めたということもあって、引き締めが遅れていると批判されている。

経済用語で、「流動性の罠」というのがある。
Wikipediaの解説によれば、「流動性の罠とは、ケインズ経済学を解釈した経済学者のジョン・ヒックスが発案したものであり、金利水準が異常に低いときは、貨幣と債券がほぼ完全代替となってしまうため、いくら金融緩和を行っても、景気刺激策にならないという状況を指す」とある。

金融緩和をすれば、株や不動産の価格が上がるなどして、景気は何となく良くなるし、投資をすればらくに儲かる。
らくに儲かるのであれば、政府も人々も、低金利の世界にいつまでも浸っていたいと思うようになる。
だが、このやり方は、安易すぎて、ある種の「麻薬」である。

経済を良くするためには、本来であれば、生産性の向上、構造改革といった痛みの伴う政策をする必要があるが、居心地の良さに慣れて、そういったことをさぼってしまう。
結果、実体経済は次第に行き詰まるが、私たちは株や不動産の価格だけを見て、経済は順調と信じてしまう。
そのような状況では、麻薬を切らせば経済の醜い正体が露わになる、株価が暴落するので、いよいよ麻薬を打ち続けるしか選択肢がなくなる。
そうならないよう・・・あるいは、もうそうなっているのであれば、手遅れになる前に、日銀は、どんどん金利を引き上げていくのではないだろうか(年内1%、来年以降2%、最終的には3%以上も?)。





その後は、1時間ほどで高島屋を出た。
数日前、個展を見に行ったアーティストの方から、素敵な年賀状をいただいたので、私は、寒中見舞いを出すため、郵便局へ。
ただ、郵便局は、プリントハガキを1枚売りしてくれない。
私は、郵便局の机で、ボールペンの手書きのメッセージを書いて出した。

その後、私は、六本木へ移動。
気軽にカジュアルワインのテイスティングをするワイン会に参加するためだ。
しかし、実に久しぶりの入店で、コロナ禍があったので、かれこれ5年ぶりくらいだった。

店内のインテリアは、ずいぶん変わっていた。
少し戸惑ったが、立食用テーブルの前で待っていると、ワイン会は、予定通り、始まった。
狭い場所で、立ち飲み。
私は、知らない人どうしのテーブルで相席となり、ワインの銘柄の話など、いろいろ話した。





帰り道は、上野駅のエキュートで、ラーメンを食べて、常磐線で帰った。
「じゃんがら」という面白い店名のラーメン屋があり、かなりの人気店のようである。

私は、飲んだ帰りなどに、つい食べてしまうのだが、ラーメンの分量は、気持ち少な目で、価格は800円前後とお安い。
これから電車に乗る人のことを考えると、なかなか、うまい営業戦略ではないだろうか。

また、無料でトッピングができるのも、この店の大きな売りである。
カラシ高菜、紅ショウガのほか、店員に言えば無料で擦りおろしニンニクも、もらえる。
トッピングがおいしいものだと、トッピング目当てで食べに行ってしまうこともある。
これもまた、うまい営業戦略のように思うかもしれない。




しかし、これは「トッピングの罠」なのである!

Wikipediaの解説には載っていないが、「トッピングの罠」とは、ラーメン食べ歩きが好きなエッセイストのあんみつ先生が発案した言葉である。
トッピング無料のラーメン店だと、トッピングが有料だとまず頼まない客が、無料だと入れないと損だから、せっせと入れるようになり、もしそれが結構おいしいものだと、やがて、トッピング目当ての常連になることである。

トッピングは、客にとって「麻薬」になり得るということである。

そこで、自分がラーメン屋を開業する場合に、トッピング無料にして、客に「トッピングの罠」を仕掛ければ、集客ができて良いと考えるかもしれない。
しかし、起業支援コンサル(?)として相談を受けた場合、あんみつ先生は、あまり良くないとコメントするだろう。

最近は物価が異常に高騰しており、店側がトッピングを無料で提供し続けるのは、非常に厳しいのではないか(トッピングが特殊なものであれば、コストはかなり高いはず)。
しかし、そのような状況下でも、麻薬を切らせば客が来なくなる、売上が暴落するかもしれないので、トッピング無料を続けるしか選択肢がなくなる。

ということで、トッピングは、スターバックスのように有料の方がよいと思っている。
そうすると私は頼まないし、他の客の多くも頼まないのだが、それでもいいのではないか。
無料にして、客に「トッピングの罠」を仕掛けると、手っ取り早く店の景気は良くなるが、やめられないことであれば、あとになって大変な思いをするときが必ず来るということである。